いつも帰るとき、あんな感じだ。 ドジっ子だ。「リョウちゃんもそろそろ寮にもどる? 送っていくわよ」 グレイさんを見送るとコウお母さんがそう言った。 そうなんだよね、私もそろそろ寮にもどらないと。 でも、本当はもうちょっとゆっくりしたい……。 そういえば、カテリーナ嬢には護衛の人が寮にまできてるんだから、コウお母さんも一緒に寮に来てもらえないかなぁ。 ああ、でも、さすがに無理か。コウお母さんには店もあるし。「そうですね。そろそろいきます……」 と言って、帰り支度。「そんなにしょぼくれた顔しないの」 とコウお母さんは笑ってるけど、だって、寂しい……。 しょぼくれながら準備して、用意ができるとコウお母さんと一緒にお店を出た。「そういえば、コウお母さん、結構グレイさんのこと気に入ってますよね?」 今日も腰をクネらせていたし。 私が道中そんなことを聞くと、コウお母さんは曖昧に頷いた。「そうね。リョウちゃんが、前、グレイさんとの結婚を推されてるなんて言ってたでしょう? だから気になってたんだけど、悪い子ではなさそうね」 ああ、そういえばそんな話をコウお母さんにしたかも。「ま、たとえいい子だとしても、リョウちゃんが結婚を嫌がるなら、私はリョウちゃんの味方よ。確かに、ちょっと年も離れてるしね」「私もいい人だとは思いますけど、結婚とかって感じはしなくて……」 というか、私、いつか結婚したいと思える人にちゃんと会えるのか不安になってきた。 まあ、結婚しないならしないで、コウお母さんが一緒にいてくれるから、それはそれでいいんだけれども……。でもいつまでもコウお母さんを縛り付けるのは良くないような気もしなくもないし……。 そんな不安な気持ちが顔に出ていたのか、コウお母さんが、ふふと笑った。