「まあまあ、随分早かったですね。それに、おじいさんのかさはどうしました?」おじいさん、お地蔵さまのことを話してやりました。
「まあまあ、それはよいことをしましたねえ。お餅なんてなくてもいいですよ」
その夜、夜中だと言うのに、ふしぎな歌が聞こえてきました。
じいさんの家はどこだ。かさのお礼を家に届けに来たぞ。
歌声はどんどん近づいて、とうとうおじいさんの家の前まで来ると、ズシーン
と、何かを置く音がして、そのまま消えてしまいました。
おじいさんがそっと戸を開てみると、おじいさんのあげたかさをかぶつたお地蔵様の後ろ姿が見えました。
そして家の前にはお正月用のお餅や馳走が、山のようにおいてありました。