1.1でも触れたように、 企業が継続的なイノベーションを行うためには「両利きの経営」 が求め られることが経営学において議論されてきている。 これは「イノベーションを生み出す1つの方法 は、 すでに存在している知と知を組み合わせることである」 という考え方のもと、 知の幅を広げ るための「知の探索」、 すでに持っている知に改良を重ね深めて活用するための「知の深化」の 2種類をバランスよく行う経営が重要だということである7。 しかし短期的な業績に着目しがちな企 業の場合、 この2種類の中でも、 特に 「知の深化」 に特化してしまう傾向が強まり、 結果として 中長期的な観点から組織の能力を劣化させてしまう問題が発生する8。多くの企業が短期的な業 績を重要視する現在では 「知の探索」 に関して、 意識的にある程度の水準で探索を維持するこ とが必要であり、 そのための有効な1つの手段という文脈からも、 オープンイノベーションが近 年脚光を浴びてきた。