お母様はオペラやバレエなど、美しくて非日常的な世界が大好きだ。さすが娘をジュモーの人形にしようとするだけのことはある。
「まぁ素敵ね!湖上オペラなら私も前に観に行ったことがあるのよ。圧倒的な迫力で、とても素晴らしかったわ!麗華さんはオペラもお好きなの?」
「母の影響で、ヨーロッパに行った時に好きな演目が上演されていれば、観劇いたします。ただ私はお恥ずかしながら毎回楽しく鑑賞しているだけで、オペラそのものにはあまり詳しくはありませんの。もっと知識を深めてから鑑賞すべきとは思っているのですけど…」
「そんなことないわ!頭でっかちで難しく鑑賞するよりも、麗華さんのように素直な心で楽しむほうが私はいいと思うわよ?私もオペラは大好きなの。麗華さんの好きなオペラはなにかしら?」
「月並みですが、ローエングリンとか魔笛などでしょうか」
「ローエングリンがお好きなのね?では同じワーグナーでトリスタンとイゾルデはどうかしら?」
「とても情熱的だと思います」
「まぁ!」