たらふく食べ、片付いたテーブルには一冊の本が乗せられていた。 大きな園内マップを広げ、それを僕と薫子さんで覗き込む。ここは週末の天気が良ければ向かうであろう大型の娯楽施設、グリムランドだ。 当日まで伏せておきたいので、マリーのお風呂に入っている今こそ作戦会議にもってこいである。「抑えるべき施設はこことここ、それにこちら。どこも人気があり、おそらくマリーちゃんも楽しめるでしょう」「んー、こう見ると数が多くて悩みそうだなぁ。へえ、こうしてフリーパスを貰っておくのか」 先ほどから効率的に楽しむ手順を教えてもらっているけれど、これは確かに知識無しでは出来ないな。などと思えるほど敷地は広く、そして個性豊かなアトラクションが並んでいる。 もし何の考えも無しに行けば、恐らく歩き疲れてしまうだろう。「ホテル宿泊をお勧めしたいところですが、この短期間ではとても無理ですね。気に入れば半年先を予約してみると良いかもしれません」「うわ、凄いな……そんな人気があるなんて」 青森に点在する廃墟遊園地とは大違いだ。まあ当たり前だろうけど。 それよりも、と彼女が指さすのはひとつのレストランだった。「こちらを予約しても良いと思います。園内の雰囲気をたっぷり楽しんで食事できますよ」「おっと、こんな所があるなんて。ぜひ行ってみたいなぁ」 アトラクションの雰囲気を感じながら食事をできるなんて、と思わず唸ってしまう。こうして僕らは着々と相談をし、幻想世界の住人を楽しませる作戦を練ってゆくのだった。 いや、これならきっと彼女たちも大はしゃぎをしてくれるぞ。そう確信し、僕らはにんまりと笑みを浮かべたのだった。 うーん、楽しみになってきた! 夢と希望に溢れたアトラクションへ連れて行きたくてたまらないね。