頭をぶつけないよう注意をし、お姫様だっこをすると少女は身じろぎをし、ぎゅうと首筋に抱きつかれた。ふわんと香る女の子の匂い、それに柔らかな感触を押し当てられて少しだけ気恥ずかしい。 いや、この反応は……。「狸寝入りをするエルフさんは誰かな?」 そう言うと少女はくつくつと笑い、それから眠たげな瞳をすぐ近くで開かせる。とはいえ半ば以上は夢のなかにいるらしく、くあー、と大きなあくびをすると瞳をまた閉じてしまった。ぐりっと頬を擦りつけてきたのは「このままお部屋まで運んでちょうだい」という可愛い命令らしい。