「うぐっ!」「ぎゃぁぁ!」 無頼達の叫び声が聞こえてくるが、闇雲に撃っているのでは無い。獣人達には敵がハッキリと見えているのだ。 そして、カットラス刀を抜いた、ミャレーとニャニャスが中へ踊りこんだ。「うわぁぁ!」「なんだ! クソ! 何がどうなったぁ! ぐあっ」 暗闇の中で、獣人達に対抗出来るはずも無く――無頼達の断末魔の悲鳴が途絶えると、ニャニャスが首を出した。「旦那! クロトンは2階だ! 上から臭いがする」「そうか、下は任せろ」 ニャニャスが2階へ上がって行くと――上からバタバタと音が聞こえる。上にも何人か敵が居たようだ。 女の悲鳴も聞こえるのだが……。「おい! ニャニャス、大丈夫か?」「おう!」 まぁ、接近戦なら獣人には敵わないだろうが――。「ミャレー、何人か逃がしたか?」「多分、1人か2人逃げたにゃ」「まぁ、そのぐらいなら大丈夫か。別に討伐じゃなくて、クロトンの救出が目的だからな」「にゃ」「さて、俺はお宝でも物色するか。多少でも取らないと、赤字になってしまうからな」 俺は頭に付けたLEDヘッドライトの電源を入れた。「うわぁ……こりゃ、スローライフとは程遠いなぁ……」 すると、目の前に広がる悲惨な光景。血の海に沈む腕が落ち腸はらわたが飛び出て転がる数多の死体。 断末魔に見開いた目が、俺と合ったような気がする――南無阿弥陀仏。心の中で念仏を唱える。 チンピラ極悪人でも、死んだら皆仏。多分、全員が地獄行きだとは思うが。 生臭い臭いと酸い臭いが鼻に付くが、この臭いは慣れないな……。 全くなんでこんな目に……。 ひっくり返ったテーブルの下に硬貨が入った袋を見つけた。床にも金貨らしきものが散らばっている。 分前でも勘定してた最中だったか? 丁度良かったな。 床に落ちた金貨をせっせと集めて、無頼達の装備も剥がして掻っ攫う。死んだ奴等にはもう必要ないだろう。 裸一貫で三途の川か。渡り賃を持ってないし、服も着てないんじゃ川は渡れないな。 金を拾いながら死体や壁に刺さった矢も回収する。2階へ上がれば、まだ色々とあると思うが長居は無用だ。 あらかた拾い終わった俺は、パワーショベルをアイテムBOXへ収納した。