特に獣人達が使っていたバックラーは白い傷が入りまくっている。 そうそう、クロスボウとミャレーのコンパウンドボウも回収して矢も集めないとな。 矢はカーボン製だし矢じりは合金製だ。この世界にはオーバーテクノロジーすぎる。「この後どうするんだ?」 首を切っているニャケロに恐る恐る話しかける。「どうする? って勿論、装備を剥ぎ取るでしょ?」「ああ、やっぱり……」「明るくなりゃ家の中も探して、金目の物は片っ端からから全部かっぱらいましょうや!」「どっちが盗賊だか解らねぇ……」「ははは! 悪事を働かなけりゃ、こいつらも死ぬこともなかったんですぜ?」「そりゃ、そうだが。その前に身体を洗ってきたらどうだ」「おっと! そういえばそうだ。首を切るのに夢中ですっかり忘れてたぜ」 井戸へ走っていくニャケロ達を横目で見ながら、俺は意を決して生首を次々とアイテムBOXへ突っ込んでいく。その数52――。 当然アイテムBOXの中には【首(人間)】×52――という表示が追加された。一体どういう状況なんだよ……。 女達の方を見れば、さっきの子供が髪を短くカットされてジェットヒーターで頭を乾かしている。 よくよく見れば女の子のようだ。「ああ、女の子だったのか?」「……」 女の子がコクリと頷うなずいた。「それじゃ女の子にも服をやらんとなぁ」 早速、シャングリ・ラで検索する。あまり派手なのはダメだろうし、シンプルなやつだな。 紺のワンピースで襟が白い物を見つけた。これがシンプルでいい感じだ――3000円で購入。合わせ目も無いし、これならOKだろう。「ほら、これをやるから着ていいぞ」 女の子にワンピースを渡すのだが、じっと見ている。「着方が解らんか? ちょっと着せてやってくれ」「はいよ~」 女の子が着ていたボロボロの服を、女の1人がスカートの裾を持って一気に脱がせる。 裸になった彼女の頭から紺のワンピースを押し込んだ。「中々似合うじゃないか、名前は何て言うんだ?」 ショートボブ風になった黒い髪の毛に、紺色のワンピースがよく似合う。ちょっとつり目がちな目で、俺をじっと見続けている。「……アネモネ」「アネモネか――いい名前だ、宜しくな」 獣人達は暗闇の中で宝探しに没頭している。夜目があるから暗闇でも関係無いしな。 それは彼等に任せて俺と女達は寝ることにした。 シャングリ・ラからブルーシートを買って地面へ広げた。 少々ゴツゴツするが寝れない事もない。女達は、ろくに毛布も与えられず皆が雑魚寝だったらしいが、今日は俺がやった毛布がある。 俺が寝転がって星空を眺めていたら、女の子――アネモネが俺の隣へ来て抱きついてきた。 反対側には、プリムラさん。そして、ミャレーがアネモネの隣へ来たいようなのだが躊躇している。 恐らく虱シラミの心配だろう。 ――実に温かいのだが、ちょっとこれは困ったな……。 ミャレーじゃないが、虱シラミが伝染らないだろうな? まぁ、シャンプーして櫛くしも掛けたらしいから今日は大丈夫だとは思うが。 何日一緒かは解らんが、毎日シャンプーしてやらんとな。 俺は石鹸の香りの中で眠りに落ちた。