めちゃくちゃに舌で侵されながら、唾液を奪われながら、熱く重たい勝己の身体を感じながら、戦いの中で想いが呼吸が鼓動が心が、勝己と一つになった事が思い出されて涙が止まらなかった。勝己が何かを失ったと思う気持ちが、出久にも痛いほど苦しいほどよく分かった。「はよ返せや」ぬるりぬるりと舌を擦り合わせる。ざらざらとした表面の粒立ちの一つ一つが分かりそうな程ぎゅうぎゅうと押しつけ舐めとり吸い立てられる。溢れた唾液が滴を作って垂れる。「んっんっ!ん、ふ、」「ん、ん」二人分の荒い呼吸が鼻を抜ける。酸素も唾液も奪い合うのに、心だけは馬鹿みたいに互いの何かを求めてむちゃくちゃに走り回って、触れられない。見せなければ、伝えなければ、渡さなけば、届かない。「かっちゃん!」出久はついに小さく叫んだ。キスに追いつめられてすっかり呼吸が乱れている。酸素が足りないのか頭がくらくらした。