「まあな。魔法使いの数は少ないから……」「アランも行ったんでしょう?」「行った。結界のほころびを直して回って、お母さまとは別行動で動いてた」 そう言って、少しため息をついたアラン。 当時のことを思い出したのか、疲れたような顔。 ……そうだよね。今は元気でも、その時は色々あったよね。 私だって、ルビーフォルンのみんなを全部が全部を助けてはあげられなかった。 救えなかった命だって、やっぱり、あった……。 私の魔法は、死んだ人を生き返らせることはできない。 どんなに重傷でも、生きていれば治す見込みはあったけれど、もうこと切れている人はどうにもできなかった。 アランもそういう、どうにもならないものを目の当たりにしたのかもしれない……。「とりあえず、行こう。クロード叔父様も、なんかすごくリョウに会いたがってた」 とアランが言った言葉に、クロードさんの読めない商人笑顔を思い出す。 クロードさんか。そうだよね。 クロードさんの対応しなくちゃなぁ。 マッチとか、蒸留機のこととか聞かれるんだろうなぁ。 私は、クロードさんになんて言おうかなぁなんて考えながら、アラン達と一緒に屋敷へ向かって歩き出した。