「えっと、これは…」
麻央ちゃんが気まずそうに尋ねた。
「それはね、私が遊びで左手で描いてみた物なのよ。利き手ではない手でどこまで描けるかなって」
「まぁっ、そうだったんですか!道理でおかしいと思いました。でも左手でここまで描けるなんて、お姉様には絵の才能があるのではありませんか?」
「まぁ、ほほほ…」
泣いてもいいですか?
私はスケッチブックをそそくさとしまい、麻央ちゃんの夏休みの宿題を一緒にやることにした。
「実はまだ、全然やっていないんです…」
「そうなの?ではふたりで頑張って早く終わらせてしまいましょうか」
「はいっ」
麻央ちゃんに勉強を教えるのはお姉さん気分が味わえて楽しい。本当にこんな可愛い麻央ちゃんが私の妹だったらなぁ。
しばらくすると仕事から帰ったお兄様が私の部屋に顔を出した。