食事が終わって、風呂に入る事になったのだが――。「え? お、お風呂ですか? でも、男の人の前で裸になるのは……」 そりゃ、年頃のアイリスなら仕方ないだろう。「それなら、俺は家に入ってるよ」「私も家に入って、勉強する!」「アネモネ、今日は風呂には入らないのか?」「うん!」「でも、お風呂のお湯だけ魔法で沸かしてやってくれ」「解った!」 風呂が沸いた後、俺とアネモネは家で勉強。外からは、女達のキャッキャウフフが家の中まで聞こえてくる。 風呂あがりのジェットヒーターはすでに設置済み。使い方はプリムラが覚えているので彼女に任せた。 風呂から上がり、ふわふわになった寝間着にエプロン姿で、プリムラとアイリスは料理の下拵えを行っている。 これが終わったら帳簿の付け方の勉強をする予定だと言う。結構ハードなスケジュールだが、彼女はしばらく、ここへ通うようだ。 そんなに結婚したくないのだろうか?「だって、相手がオジサンとかなんですよ! そんなの嫌じゃないですか」 まぁ、これが正常な反応だな。「――という意見に、オジサン好きなプリムラお嬢様は、どのようにお考えでしょうか?」「男性は誠実さと甲斐性ですよ。見てくれがどうのこうの、惚れた腫れたなんて言うのは若い内だけ、歳なんて関係ありません」 なんとまぁ、達観しているのだろうか。商売で色んな人をみているせいだろうけど。「君も十分に若いんだけど……」「私は実を取りますので」 商人らしいというか何というか。 明日の下拵えと勉強の邪魔をしちゃ悪いので、俺は外にあるニャメナの部屋へいってみた。「どうだ? こんな感じの部屋だぞ?」「もう、最高さ! ランプまであるじゃないか。もう天井裏のネズミに齧られなくてもすむんだ」 一体どういう生活をしていたのか。耳を齧られて青くなったりしていたのか?「それに、晴れた日の昼間なんて灼熱なんだぜ」 確かに屋根裏部屋は暑そう。俺の家も屋根が結構熱くなるからな。