俺は、その大物が食らうための大量の燃料を生成する仕掛けを作った。 魔道具の上の器に水位センサーを取り付けて、油面が下がったら電動ポンプで追加の油を汲み上げるカラクリだ。 これで連続してバイオディーゼル燃料が大量に作れる。 さて、油を入れる容器だが、浴槽がいいかな? シャングリ・ラで浴槽を検索すると、青色のジャンボタライというのを見つけた。 容量は120Lある。これなら余裕だ。 シャングリ・ラで一番安い植物油を探す――キャノーラオイル1.5Lで400円の物があった。 120Lって事は、こいつが80本あればいいって事か。 これがガソリンなら、こんなやり方はかなり危険だが植物油やディーゼル燃料(軽油)なら大丈夫だろう――と思う。 小屋の外へ出て、キャノーラオイルを80本購入すると、次々と1.5Lのペットボトルが降ってきた。「はは、こりゃすげぇ量だな。これでもコ○ツさんのタンクの約1/3かよ」 1人でペットボトルの封を切って、油をドボドボ入れていたら、ニャメナがやって来た。「旦那、また変な事をしてるのかい?」「ああ、あの鉄の召喚獣の餌を作っているんだよ」「これって油だろ? 餌って油なのか?」「まぁな。でも、普通の油じゃ言う事を聞かないから、色々と手間が掛かるんだよ」「これって錬金術だろ? 旦那って本当に魔導師なんだな」 だが、いつのも彼女の様子とちょっと違う。俺の事を警戒しているようだ。「普通の魔導師とはちょっと違うけどな――って何をビビってるんだよ。お前みたいな威勢の良い女でもビビるのか?」「そりゃ俺だって、怖い物ぐらいあるさ。あんな鉄の化け物と戦って勝てるはずないだろ?」「操っているのは俺だから、俺を倒せば消えるんだぞ?」「そりゃ、そうだけどさ」 何かしおらしくなって、もじもじしているニャメナが可愛いので撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らしている。「後で可愛がってやるから、この油を青いタライへ入れてくれ」「解ったよ」 だが、すぐにミャレーもやって来たので、それどころではなくなってしまった。 とりあえず、油は全部入れた。動作チェックもして、油面が下がれば電動ポンプが動くのも確認済みだ。 こいつに、アルカリとエタノールを投入して、エステル化させる。 それを魔道具へ通せば、バイオディーゼル燃料が出来るって寸法だ。 これで順調にいけば、朝起きた時にはタップリとコ○ツさんのご飯が出来上がっているだろう。