「看病するなら小さいベッドの方がいいか」 アイテムBOXから最初に使っていたシングルベッドを取り出し、お姫様抱っこでアネモネをそこへ寝かせた。 しかし――彼女の体重がかなり重くなっているな。 俺と初めて出会った時に比べて、二回りぐらいデカくなっている気がする。 この年頃は成長期だからな。1年で15~16cmぐらい伸びる奴もいるし、1ヶ月に1cm以上も大きくなるって事だ。 タオルと桶を出して、水を注ぐ。「ミャレー、魔力酔いってどのぐらいで治るもんだ?」「大体は一晩で治るって話だにゃ、熱が下がらないなら、魔法に詳しい人に見せた方がいいかもにゃ」「魔法に詳しそうと言うと――あの婆さんか」 皆がで交代しながら、おでこに濡れタオルを乗せる――ああ、熱○まシートを買えばいいのか。 シャングリ・ラで検索してボタンを押す。「ポチッとな」 すぐに商品が落ちてきた――12枚入りで500円だ。 パッケを破いてシートの保護紙を剥がすと、アネモネの頭に貼る。「それは、なんにゃ?」「おでこが冷える魔法だ。ミャレーは毛があるからダメだと思うぞ」「ふみゃ~」 試してみたいのだろうが、ちょっと無理だろう。毛皮が邪魔でシートが肌に密着しないからな。 それを見ていたプリムラがそわそわしている、試してみたいらしい。「そら」 シートを剥がして、プリムラのデコに貼る。「ひゃ! あ――本当に冷たい」 おでこに貼ったシートを上目で見ようとしているのだが、自分のデコが見えるはずがない。「ずるいにゃ!」「皮膚に直接貼らないとダメなんだよ。ミャレーの毛を刈ってもいいのか?」「にゃんて事言うのにゃ!」 獣人の自慢は美しい毛皮。それ故、毛が抜けてハゲが出来たり、毛を刈られたりするのが最大の屈辱らしい。