その言葉に、僕とマリーはピン!と来た。 結婚秒読みと思えるほど二人の仲はよく、日に日に距離を縮めつつある。となれば、これはもう婚約をする流れに違いない。「おめでとうございます!……って、それでなぜ荒れるのです?」「ま、それは俺の勘だ。俺の家もさ、いろいろ面倒なんだよ」 どうやらそれ以上の説明をする気は無いらしく、僕らは「ふうん」と小首を傾げてしまった。 そういえば先ほど聞いた話だと、このサウザンド家はたとえ嫁であろうとも強者を求めるらしいが……まさか腕試しをするとか、そういうわけじゃないよねぇ? そんなねぇ、まさかねぇ、とマリーと顔を見合わせたが、それを否定する言葉はゼラから発せられることは無かった。 と、そのとき一台の馬車が敷地へ入るのが見えた。