「俺の真似をして、残りの物を使ってくれ。その黄色いのを抜いて、黒い取手を握ればいい!」「こうにゃ?! ふぎゃぁぁぁ!」 勢い良く出た消火剤にミャレーがビビったようだ。「こうですか?!」 意外とプリムラは冷静だ。やはりマロウさん譲りなのか、肝が据わっている。 3人で消火剤を掛けまくり何とか炎は沈下した。 消火器のピンク色の粉で覆われてしまった家の壁だが、かなりの範囲で黒く焦げてしまった。 だが、表面が焼けただけで中まで火は通っておらず炭化もしてない。 火炎の瞬発力はあるが持続力はあまりないようだ。 だが、この炎で包まれれば気管や肺の中を焼かれて致命傷になる。さすが魔法――恐ろしい。「ご、ごめんなさい……」 アネモネが自分のやってしまった事に驚いて、ぷるぷると震え放心状態になっている。 いや、怒るよりも――。「すげぇぇぇ! 凄いぞアネモネ! 魔法が使えるんだな!」「これなら、牙熊も仕留められるにゃ」「でも、この魔法で焼いたら、買い取ってもらえないぞ?」「にゃ! そうだにゃ」 固まっていたアネモネだったが、その場で横に倒れこんでしまった。「おい、どうした!?」 顔が真っ赤なので額に手をやるが――熱がある。「多分、魔力酔いだにゃ。初めて魔法を使った子供なんかがなるにゃ」「ケンイチ、ベッドに寝かせましょう」「そうだな」 皆で寝られるようにダブルベッドを買ったが場所を占領するので、いつもはアイテムBOXへしまってある。「看病するなら小さいベッドの方がいいか」 アイテムBOXから最初に使っていたシングルベッドを取り出し、お姫様抱っこでアネモネをそこへ寝かせた。 しかし――彼女の体重がかなり重くなっているな。 俺と初めて出会った時に比べて、二回りぐらいデカくなっている気がする。 この年頃は成長期だからな。1年で15~16cmぐらい伸びる奴もいるし、1ヶ月に1cm以上も大きくなるって事だ。