アズールさんが、目をそらさずにそう話してくれた。 アズールさんは本当にそう思って言ってきてくれてるってことが、目を見ればわかる。彼女の強い瞳をそらせない。 で、でも、英雄とか言われても、私は、そんな大層なものじゃない……。「アズールさんが、私の騎士になってくれるのは、すっごくうれしいです。でも、私は、アズールさんが言うような英雄とか、そんなの、全然ですよ! そんな大層なものじゃないんです! そんなもののために自分を死んだことにするなんて……」「でも、リョウ殿は、私を見捨てなかった。本当なら、私はあのまま死んでしまったほうが、リョウ殿にとっては都合がよかったはずだったのに、そうしなかったであります。ルビーフォルンの民が、ウヨーリを……リョウ殿を慕うのが分かります。リョウ殿は私にとって、憧れた英雄そのものであります」「いや、私は、本当に、全然そんな、英雄とか、神の使いとかじゃなくて……。たしかに、人の傷を癒したりはできましたけれど、あれは……」「リョウ殿をみんなが特別な存在として見るのは、傷を治療する奇跡を使えるからとか、そういうことではないのです。リョウ殿は私を助けてくれました。でも本当は私を見捨てるべきだった。リョウ殿は王都に帰るかもしれない私の存在が、不安だったはずであります。私がそこで死んだほうがリョウ殿にとっては都合がよかったのです。でもリョウ殿はそうしなかった。そういうことを自然とできる人を私たちは英雄と呼んだり、特別な存在と呼んだりするのであります」 アズールさんから、何の迷いもない目でそういわれて、思わず言葉に詰まった。 そうすると、恭しくアズールさんが顔を床につける。アズールさんの長い髪が床に流れる。「どうか、リョウ殿、愚かな私をお許しいただけるのならば、私に騎士の名誉を」