私はにこりと笑うと、シャーロットの手を離した。「上手よ、シャーロット。さ、その魔力を泉に流してみて。いい? 魔力は体中を巡っているから、それを少しずつ手の先に集めてみようか。泉を見て。澄み渡ってきれいねぇ。さっき、瑞々しい薬草をいっぱい入れたわよね、ほら幾らかはまだ浮かんでいるわ。ここに、あなたの魔力を流してみて」シャーロットが少しずつ、指先から魔力を泉に流す。ふふ、素直ないい子。やっぱり、いい聖女になるんじゃないかしら。「その調子よ。さぁ、イメージして。ケガをした魔物がいて、痛い痛いと泣いているの。かわいそうね。……ここには、長い時間、大地の力を取り込んだ水と、自然の力をもらった薬草があるわ。この力を借りるのよ。さぁ、あなたの魔力を流して。この水と薬草と魔力で回復薬ができたら、ケガをした魔物はどんなに喜ぶかしら?」言いながら目をつむり、私も少しずつ魔力を流す。「そう、上手よ、シャーロット。少し、左手の方から放出される魔力が多いみたいだから、両手に平等に流れるようにコントロールできるかしら?」少しずつ、少しずつ、シャーロットの魔力を整えていく。そうして、私の魔力が空っぽになったころ、泉の底からきらきらとした光が立ち上ってきた。薬草が水に溶けだし、透明だった水が緑色に変化していく。「ああ、綺麗ねぇ…………。癒しの色だわ」思わず、つぶやいた私を前に、シャーロットは泣きそうな声を出した。「フィ、フィーア。私、体がおかしいの。何だかぽかぽかするし、体中を力が駆け巡っている感じ……」私は、よしよしとシャーロットの頭を撫でる。「おりこうさんよ、シャーロット。それが、回復魔法を使うということよ。よくできたわね。ほら、だから、この泉の水がぜ――んぶ、回復薬になりました!!」私はにこりとして、じゃじゃーんとばかりに両手を広げて泉を指し示した。「………………え?」シャーロットは、ぽかんと口を開けて私を見つめる。「……うん、分かるよ。思考停止は、逃避の有効な手段だよね。僕は、……気絶してみよっかな」草の上で寝転がっていたザビリアが、小さくつぶやいていた。