「う、うわぁーーーっっ!! 助けてくれっ!!」 騎士団員の悲痛な叫び声が響いた。 まだ魔物の生き残りがいたのかと思い、剣を構える。 が、そこにいたのは魔物ではなく。「腕!?」 地面から突き出た、赤紫色の太い腕。 その腕は大きく、騎士団員を一度に三人、握り潰した。 握り絞められた拳からは、潰れて絶命したであろう、騎士団員の真っ赤な血が滴っていた。「ふぅ~……とんでもねぇ魔術だなおい!! 危うく死ぬとこだったぞ!!」 地面から発せられた、野太い声。 次第に土がモコモコとせり上がり、地中から巨大な魔族が這い出てきた。 あれだけの威力の魔術を食らってまだ生きてるなんて…………この魔族、おかしくないか?