絵本を作ってみよう ――次の日。 森猫のベルが朝のパトロールに出かけた後、朝食を食べる。 普通にスープとパンだ。アネモネに元世界の物を食べさせると拙まずいと思っているのだが……。 でも喜ぶので、ついつい食べさせてしまう。 ここへやって来て2日目だが何も問題はないようだ。 モンスターとのエンカウント率、非常に高し!――とかだったら困ったことになると思ったのだが杞憂だった。 今日は太陽電池パネルを設置する事にしよう。 だが、アネモネは絵本を読むために、家で日本語の勉強をするようだ。余程、絵本が気に入ったらしい。 邪魔をしないように俺だけ外に出てパネルを設置する事にした。 先ずは方位磁石で方向を調べる。南向きにセットしなければならないからな。「ああ、そっちが南か……」 てっきり滝を正面にして湖側を南だと思っていたが、川と並行して家がある方が南――対岸が北らしい。 どうりで夕日が湖の向こうへ沈むわけだよ。 ダリアを出た時には北へ向かって出発したはずだが、街道がうねうねと曲がっていたからな。方向感覚が狂ったらしい。 朝は崖の影が落ちるが、すぐに日向になる。当初の予定通り緩い斜面に太陽電池パネルを10枚設置した。 だが、こいつはやっぱり目立つなぁ……。 シャングリ・ラでカモフラージュネットを買って、パネルの北側と西側の2方を囲ってみよう。「う~ん、無いよりはマシか」 不自然な感じはするが、金属パネルとフレームがむき出しよりは良い感じだ。 早速、モバイルバッテリーをアイテムBOXから取り出して充電を開始する。「後は、便所と風呂か……」 風呂と便所をアイテムBOXから取り出す。 ここには水が沢山あるからな。井戸を掘る必要もない。 トイレは橋の上に小屋を作って水洗にしようとしたのだが前の便所を使って、また堆肥を作る事にした。 草刈りで出た枯れ草も沢山あるしな。やはり堆肥を作ってリサイクルした方が、スローライフっぽいだろう。