世の中は時代とともによくなっていく、そしてよくしていくべきだ、と私は思います。
大学も女を入学させるようになり、女も男と同じように企業につとめられるようになったのは進歩です。戦後の日本の社会の進歩にはめざましいものがあります。
この進歩にたいして、女は変身して応じています。
これまでは、日本の女は結婚したら主婦になって、そのまま一生をおえるのがふつうでした。子どもを産み、育て、家事をやり、夫の働きいいようにとりしきるのが主婦でした。いまの時代にも、昔と同じに主婦の仕事をするのを専業主婦というようになりました。
女の仕事が増えた社会に適応して一部の女は変身し、結婚しても仕事をやめないことにしました。共ばたらきです。けれども、相棒である男が、変身しないで、育児、家事、身のまわりの世話を妻にまかせるので、妻は主婦をやめられません。兼業主婦です。
時代が変わってきたのに、男が変わってくれないので、外で働く女は、三重の苦しみをうけねばならなくなりました。
母として子どもを育てる重荷、妻として夫の世話をする重荷、男とならんで仕事をする重荷の三つです。
昔から下積みの苦労によく耐えてきた日本の女の中には、男の変身してくれないところを、超人的にカバーしている人もあります。