1人でヘンリー野郎の魔の手からかいくぐり、滝の裏から脱出して、早足で校舎に向かう途中でアランに会った。
私を見つけるなり、「リョウ」と声を出してこちらに駆けつけてくれた。
アラン、すっごい汗かいてる。……探してたのかな?
「アラン、どうしたんですか?」
「なんか、リョウがいつもと様子が違ったから、探しにきた……。べ、別につけてきたわけじゃないぞ! ただ、途中で心配になって、探してたんだ」
以前ストーカーしてきたことを怒ったから、ついてきたかどうかには敏感な彼だ。
必死に弁明してる辺りが怪しいけれど、本当についてきてたのなら、ベストオブストーカーのアランが見失うはずないから、きっと本当に途中で心配になって探しにきてくれたんだろう。
「……ありがとう、アラン」
私が、素直に感謝の言葉を述べると、アランは訝しげな顔をした。
「やっぱり、元気がない。顔色も悪いし……大丈夫か?」
ヘンリー野郎ショックからまだ立ち直れない私に、心配そうにしてくれるアランの言葉がすごく嬉しかった。でも、チラチラとヘンリーのゲス発言が脳裏をかすめる。
魔法使いにとっての私達は……。
「ねえ、アランは……私のことを、どう思ってますか?」