笑みを浮かべたままマリーは「ひゃあ」と軽い悲鳴をあげ、そして首筋へしがみつく。見上げる高さになり、ぴんと何かに気づいたらしく笑みをこぼす。「あら、確かお楽しみと言っていたものね。この世界のデザートは甘くて美味しいから楽しみだわ」「期待に応えられたら嬉しいね。ウリドラ、甘いものは黒猫も別腹に入るかい?」 ビー玉のような瞳をこちらへ向け、返事代わりにぴょんとマリーのお腹へ乗って来た。そのまま「にう」と可愛らしく鳴いてくるけれど、僕の腕力的に遠慮してくれると助かるかな。 それに彼女の場合、胃袋が魔導竜へ通じているのではと思うくらい食せるので、心配の必要も無さそうだ。「じゃあ取りに行こうか。マリー、冷蔵庫を開いてくれるかな?」「任せてちょうだい。もうちょっと近くへ……よいしょ」