「良かったなボリジよ。この普請が間に合わなければ、其方の首が飛ぶところであったのだから、ケンイチ殿は命の恩人という事になる」「カナン様、まだ終わったわけではありませんよ。残っているのが、殆ど森ではありませんか」 俺はコ○ツさんのエンジンを止めて下に飛び降りた。「うむ! だが、この召喚獣があれば、なんとかなるであろう?」「ボリジ様、水路はこれを使って私が掘り進めますので、人夫達には森の木々を伐採させて下さい」「わ、解りました」「手持ちの斧は揃ってますか?」 一応、聞いてみたのだが……。「いえ、まだ……でして……」 どうも手際が悪すぎるな。 ここから、アストランティア、アキメネス共に100kmは離れているのだ。馬車で行って帰って来るだけ4日は掛かる。 今から商人に発注して、あちこちからかき集めても、下手をすれば1週間程掛かる事も考えられる。 間に合わなくなるぞ。「カナン様、とりあえず私の手持ちの斧をお売り致します故――え~と……」 シャングリ・ラを検索する――大体1挺1万円ぐらいだな。サンプルで1挺購入して、夫人に見せてみる。「これになりますが……」 斧を受け取った夫人は、しげしげと確認すると人夫の1人を呼びつけた。「これで、木は切れるか?」「は、はい……こりゃ、新品でごぜぇますね。こんな良い斧を使わせてもらえるんで?」「うむ!」 その隙に、プリムラを呼んで耳打ちをする。「プリムラ、あの斧を街で売るとしたら、1本いくらぐらいだ?」「え~、新品で打ちたてでしょうから、金貨1枚(20万円)ぐらいでは?」「カナン様、本来は1本金貨1枚なのですが、お友達価格という事で、1本銀貨2枚(10万円)でお譲りいたします」「なに?! お友達だと?」「ダメでございますか? それでは通常価格の金貨1枚という事で……」「いや、我等はお友達であろう! うん! その通りだ!」「承知いたしました。それでは、これを20本お譲りいたしますので、総額金貨10枚(200万円)という事に」「あい解った」 早速、シャングリ・ラから新品の斧を残り19挺購入する。購入ボタンを押すと、ガシャガシャと斧が落下してきた。「ア、アイテムBOXでございますか?」「その通りである!」 驚いているボリジの横で、何故か夫人が得意げなのだが。