「旦那、こいつらの言うとおりだよ。マジで仕官の話なら、勿体無いぜ?」「書面には、そんな事は一言も書いてないからな。王侯貴族の気まぐれで、面白半分で呼びつけただけかもしれないし」「ありえますわ」 貴族の事をよく知っているプリムラは、あり得る話だと言う。「そりゃ、そうだけどさ」「けど、相手が王様にゃら、話を聞かなくちゃいけないにゃ」「そうなんだよ。無視出来ないからな。でも俺が仕官なんて事になったら、皆と遊べなくなるじゃないか。ニャメナはそれでいいのか?」「そりゃ……役人なんかになったら、獣人とは遊べないかもしれないけどさ……」 ニャメナはしょんぼりして、黙ってしまった。「まぁ心配するな。そんな事はないからさ」 そんな話をしながらのノロノロ運転――だが、この街を出る前に寄る場所がある。アネモネのローブとプリムラの上着の製作を注文した服屋だ。 糸から紡ぐので、時間がかかる。王都から帰ってくるまで、どのぐらいの時間が掛るか解らないので、一応話をしておいた方がいいだろう。 車を店先に停めて、俺だけ店の中へ入る。「へぇ、王都まで」 前に来た時と同じように、女の店主は大きく胸の開いた派手な色のワンピースを着ている。「ちょっと、どのぐらいで帰ってくるか解らないんだよ。ローブと服が出来ても、置いといてくれるかい?」「よろしゅうございますよ」「保管料が必要なら金を払うよ」「いいえ、あれだけ上等なローブと上着の縫製で、料金も過分に頂いてますので、大丈夫でございますよ」「それじゃ、よろしく頼む」「お任せください」 店を出ると、再び大通りをノロノロ運転だ。そして人混みを通り抜けて、東門をくぐり抜けた。 とりあえず、この前に用水路の工事をした場所を抜けて、先ずは隣街アキメネスへ向かわなければならない。 隣街までは約200km――安全運転で時速60kmぐらいで走っても、3時間ちょっとで着くから、昼前には到着するな。