ああ、これで私の生活も少しは楽になりますよね?これでお給料も上がりますよね?上がらなかったら本当にやめちゃいますからね?「聞こえていたかもしれないが、この度君への謝罪として私は君の奴隷になることになった。奴隷商に行き値段を調べてから所持するか売ってしまうか決めてもらってかまわない。どうかそれで許してくれるだろうか?」「お断りいたす!!!」……えーっと、何を言っちゃってるんですかねこの新人さんは。いいじゃないですか。男の子なんですから好き放題欲望のままに動いてしまっても誰も責めませんよ?「なら尚更いいじゃないか。精を吐き出すなり、欲のまま貪るなり、肉に溺れるなり好きにしなよ」ほら! レインリヒ様もそう言ってますし、あの豊満な体を好きにできる機会なんてなかなかないんですよ?「それならさ、あんた材料収集なんかを任せるのはどうだい?」「え?」「だから薬体草とかだよ。別に四六時中一緒にいなきゃいけないわけでもないし、採集とかをこいつに頼めば材料費はただじゃないか。それに弱いあんたが危険な場所に取りに行かなくても手に入るなんて理想だろう?」「そういうのアリなの?」「当たり前さ。手の届かない所で働かせてもいいんだよ」「なるほど……」「それにあんたはてんで弱っちいんだから護衛として使うのもいいじゃないか」「まあ外に出る予定は全くないから街の中での護衛になるけど……いや、でも……」「はい。じゃあ決まりだね。まあ立場は変わらないんだけどね」うーわー。結局へたれさんでしたか。「あ、そうだ! あの冒険者とその受付嬢の子はやめさせないでください」そのうえまだ甘い事を言いますか。私達は仕事に誇りを持って……。「え、ええ。そちらがよろしいのであればかまいませんが……」「もちろん。今回は赤い戦線のアイナさんが責任を持ちその責を追ったのですから彼らの罪は放免という形でいいでしょう。それにその冒険者がアイナさんの仇だとかって闇討ちされても困りますしね。ただ詳細の説明は皆さんからしっかりと頼みます」「ああ、お父さん!」「おおフィリルよ!!」誇りを……。ちょっと待った親子?家族経営でギルドを運営してるんですか?え、それって職権乱用ですよね?受付嬢としての誇りは? ギルドの顔としてのメンツは?「アイナさん本当に申し訳御座いません……」「ごめんなさい。本当は私が奴隷になるべきだったのに……」「いやいいんだ。これで二人に恩を返せる。結婚式、近いのだろう?」は?結婚?え、何をいい話風にしてるんですか?結婚? え? 私よりも若いですよね?「情で訴えかけても撤回なんざしないからね」全くもってその通りです。ええ、むしろ裁定が甘いとさえ思います。十分器物損壊で訴えることも出来ますし、結婚式前夜に犯罪奴隷に落してやりた……な、なーんて思ってませんからね。ふう危ない危ない。危うくダークサイドに私が落ちてしまうところでした。ゴケッコンオメデトウゴザイマス。