「風呂が沸いたか。ミャレー、お前が先に入るとお湯が無くなってしまうから最後に入ってな」「にゃ」「アネモネ、そろそろ1人でお風呂に入りなさい」「……」「またそういう悲しそうな顔をする。男の人の前で裸になったら君も恥ずかしいだろ?」「恥ずかしいけど……ケンイチなら良い」 良いとか悪いとかの問題じゃないんだよなぁ。そういう悲しげな顔をすれば、俺が許してくれると思ってるんだろ? でも、許しちゃう! 悔しい! ビクンビクン。 LEDライトを持って薄暗い中、アネモネと一緒に風呂に入る。 暗くて辺りは見えないのだが、川の音と滝の音だけが響いてくる。家の中に入ると気にならないのだが。 まったくもう、こんなの元世界なら完全にアウトだ。児○事案発生だぞ。 ちなみに元世界で銭湯へ行くと、このぐらいの女の子を連れて男湯に入ってくるお父さんがいたんだが、止めて下さい。 よろしくお願いいたします。 2人で交互にドラム缶風呂に入っていると、ミャレーも尻尾をふりふり裸でやって来た。裸といっても、毛皮を着ているので裸っぽくはないのだが。「アネモネ、頭が痒くなったらすぐに言うんだぞ」「うん」 彼女の頭についていた虱しらみは退治したはずだが、どこからか貰ってくる可能性もある。「しかし獣人に虱しらみやノミが付いたら、大変だな」「もう、悪夢にゃ!」「でも宿屋で床虱やノミに、やられる事もあるんだろ?」「あるあるだにゃ! 泊まらずに、すぐに出てきた事もあったにゃ!」 ミャレーの話では、その手の宿屋は獣人同士のネットワークで、評判の甲乙丙丁によりランク付けされていると言う。「獣人達には深刻な問題だからなぁ」「その通りにゃ」 皆で石鹸を使い身体を洗って、最後にミャレーへ盛大にお湯をぶっかけて泡を流す。 ミャレーとアネモネに使うためにアイテムBOXからジェットヒーターを取り出した。 お風呂の排水も、溝を掘って川へ流れるようにしたいな。