私の声を聞いたサリエラは、やっと頭を上げて私を見た。そして、両手で自分の胸元を押さえると、真剣な表情で口を開いた。「あなた様は大聖女様ではないのですか? そのように見事な暁色の髪をされていて、この時期にお戻りくださったので、私はてっきり……」それ以上言葉が続かないのか、サリエラは言いさしたまま、強張った表情で私を凝視してきた。サリエラの真剣な様子に気圧され、私は思わず口を開く。「え、ええと、そうですね。そういえば、大聖女かもしれないですね」私の言葉を聞くと、サリエラはうっすらと涙ぐんだ。「ああ、やはり、アデラの花が咲くこの季節に、大聖女様にお戻りいただけたのですね。……大聖女様、厚かましいお願いではございますが、どうか、どうかもう一度、私たちをお助けいただけないでしょうか。どうかお願いします」言いながら、もう一度深く頭を下げてくる。サリエラの必死な様子に、私はこくこくと頷いた。「わ、私にできることでしたら。ええと、この方たちは黄紋病ですね。でしたら……」言いかけた私を遮るように、サリエラが首を横に振る。「黄紋病……では、ないかもしれません。なぜなら、大聖女様の特効薬が効かないのです」サリエラはどうしてよいか分からないといった困り切った表情で、力なくつぶやいた。