それらを応用して出来た品。アインズヘイルでは見かけなかったので、試しに作ったのだが完成しているだろうか。とりあえず取り出したのは大きな氷の塊。これは、魔法空間の環境設定を最低の0℃にしたまま不可視の牢獄インビジブルジェイルと水魔法、氷魔法で固めたものである、簡易冷凍庫であった。いや、丸々氷なので氷室のほうが正しいかもしれない。その中にあるのが本日のデザート。そう。アイスクリームである。氷に塩を撒いて氷点下まで温度を下げ、魔法空間内をマイナスの温度に保たせる。そして牛乳から生クリームを分解、再構築を駆使して作り、卵、砂糖を加えて混ぜ、凍らせて完成したのがこちらだ!四角い金属に入った真っ白なアイスクリーム。極めつけの本来なら美容に使われるバニルのハーブを搾ったエキスが、甘い匂いを醸し出してより一層アイスとしての魅力を引き出している。「アイスクリームですか!? わあ、バニラの香りがいいですね」「正式にはバニルな。ちゃんと牛乳を分解して乳脂肪分を再構築させて作った生クリームを使ってるから楽しみにしようぜ」「生クリーム……。それならケーキとかも作れそうですね!」「だな。スポンジが……ああ、シロパンが作れるならできそうだな。ショートケーキとか今度作ってみるか」「わあ! 僕も食べたいです! この世界に来てから甘い物は砂糖を多く使えばいいと思っている物が多くて……」「くどそうだな……。モモモでケーキとか美味そうじゃね?」「ジューシーなモモモでケーキ! 絶対合いますよ!」だよな。ああ、やばい食べたくなってきた。王都についたら厨房を借りて作ってみよう。王都というくらいだ、材料は簡単に集まるだろう。「あの、あいすくりいむ? ですか? 溶けてしまってもいいのですか?」「「ああっ!」」いかんいかん。つい話に夢中になってしまった。さて、取り出したのは名称不明のあの器具。丸い球体に削りだす優れもののあの器具である。「おお、それも作ったのですね」「ファミリータイプのアイスクリームには必須だろう? お好みでさっきのジャムと合わせていいからな」「僕はノーマルでいただきます! ああ、懐かしきアイスクリーム……」「ほら、皆の分も取るから食べていっていいぞ」こうして俺は皆にアイスクリームを振舞っていった。「冷たい。甘い、美味しい」「そうですね。香りもバニルの甘い匂いが素晴らしいです」「クリス、これ簡単に作れるから隼人にも作ってやんな」「そうなのですか? でしたら後で作り方を教えてください」「ああ、生クリームが入手できればいいんだが……。入手できない時は牛乳とバターを混ぜて代用すればなんとかなるぞ」「クリス、しっかり聞いて作ってください!」「はい。隼人様がそんなに喜んでらっしゃいますので、絶対に何一つ聞き漏らしません!」