セキさんはそう言って、最後にかすかに頷いた。 どうやら、納得してくれたみたいだ。 いや、実際は、魔法爵の苗字の組み合わせで多分呪文できないと思うけど。そこまで同じ単語を使った短歌はそうないと思うけれども。 ……ごめんね。 だって、前世の話とかしたら、もっとセキさんを混乱させちゃうと思うし、それこそなんか頭おかしい人にされて、最終的に、天上の御使い様にされそうな気もする。私は断じて、天上の御使い様じゃない。「尋問するような聞き方をしてすまなかった。……私は君に感謝している。息子の命の恩人だ。だからこそ、これから君を守る上で、知っておきたかったんだ」「守る?」「さっきも言ったが、生物魔法を知っていることが王族に知られたら……。アニエスの反応を見る限り、あまりいいことが起こるとは思えない。できれば、生物魔法を使う者がいるという噂が広まらないのが一番だが……」