前からそうだけど、そんなに俺が桜ちゃんと仲良くするのが気に入らないのか!? どんだけ桜ちゃんを独り占めしたいんだよ! 俺だって妹を可愛がりたいんだから、少しくらいはいいじゃないか! 俺は冷や汗をかきながら、咲姫に対してそう思う。 決して、口に出したりはしない。 ……後が怖いからだ……。「ねぇねぇ海君」「は、はい!」 咲姫に名前を呼ばれると、俺は反射的に姿勢を正し、元気な声で返事をした。「私、学年で一番だったんだよね……?」 咲姫はちょっと甘えた様な声でそう言うと、上目遣いで俺の顔をジーっと見てきた。「あ、あぁ、それは知ってるぞ?」 俺は咲姫の態度に戸惑いながらも、そう答える。 別に、百番までが貼りだされる順位発表を見に行ったわけではない。 ただ、俺のクラスのいつも学年二位のガリ勉眼鏡君が、非常に悔しがっていたから知っているだけだ。 というか、咲姫は本当にいつもと変わらず一番をとった。 ちょっと――どころか、最近結構おバカだと思っていたが、本当に一番をとりやがったんだよな……。「それだけ……?」 俺の返答が気に入らなかったらしい咲姫が、俺の顔を見つめながら顔を曇らせた。「え、えと……? 何か買って欲しいのか……?」「ナデナデは……?」「え!?」 俺は咲姫の言葉に驚いた。 だってこの言い方だと、俺に頭を撫でろと言ってるぞ!? あの学校一のモテ女の頭を俺が撫でるの!? 俺達姉弟と言っても、同級生なんだけど!? しかも、仮にも咲姫は俺の義姉だろ!? なんでそんな事求めてくるわけ!? 俺は訳が分からず、頭の中がこんがらがっていた。 というか、こんな姉の姿を見たら桜ちゃんも驚くだろ!? この前若干桜ちゃんの前でも素が出てたけど、一応咲姫は桜ちゃんの前では恰好をつけたし! 俺はそう思って今も頭を撫で続けている桜ちゃんの方を見るが――桜ちゃんは全く驚いていなかった。 というか、頭を撫でられる事に集中していて、猫みたいな顔をしている。 どうやら、俺達の会話は聞いていないようだ。 クイクイ――。 俺が桜ちゃんの方を見ていると、咲姫が俺の服の袖を引っ張ってきた。 仕方なく俺は咲姫の方を見る。「ほ、本当にするのか……?」 念の為咲姫に頭を撫でる事を確認すると、咲姫はコクっと頷いた。 まじかよ……。 あ……でも――。 俺はここで、一つの名案を思い付いた。 とりあえず、ここは咲姫の言う通り頭を撫でた方が良いな……。 俺はそう結論付けると、おずおずと咲姫の頭に手を伸ばす。 すると咲姫は嬉しそうな笑みを浮かべ、俺に頭を差し出してきた。