麻央ちゃんが泊まりに来る日は塾はお休みにした。もちろん朝のジョギングもその時はお休みにしてもらう。
三原さんとは頑張って毎朝遠くの公園を走っている。最初の頃よりも止まらずに走れるようになってきた。三原さんには私の名前を連呼しないようにお願いしたけれど、「お嬢様」呼びは相変わらずなので目立つらしく、時々走っていると見ず知らずの人達から「お嬢様、頑張ってー!」と声援をいただくはめになった。なんだかこの公園の名物になりつつある気がする…。
「お嬢様はだいぶ走るのに慣れてきましたね!夏休みの終わりには皇居に行ってみましょう!」
「ええっ!皇居ですか?!ムリです、私には敷居が高すぎます!」
皇居の周りを走っている人達って本格的なランナーばかりじゃないか。いやいや、走るというより歩くに等しい私では、場違いにもほどがある。
「お嬢様、目標は高く掲げてこそです。大丈夫、皇居の周りは約5キロといったところですから、今から練習すれば走れます!」
「ええっ!5キロって今よりも2キロも増えるじゃないですか!」
「お嬢様ならきっと走れます。毎日頑張って、そして来年にはホノルルに行きましょう!」
「ええーっ!ホノルル?!」