うむ。 だが、繰り返しになるが私を信じてほしい。ユウ・サトウを無罪にすることはできぬが、最終的には保護観察処分として、私が見ることになるだろう。もちろん冒険者ギルドに責任が及ぶような真似はさせん」「それは神・に誓えますか?」「私ほど信心深い者は、ウードン王国広しといえどいないだろう。よかろう。神に誓おう!」「そこまで仰るのであれば、冒険者ギルドとしては特別扱いはできませんが、公平・・にすることを誓いましょう」 一礼するカールハインツに、バリューは満足そうに頷く。後ろではモーフィスが憮然とした面持ちである。 先ほどからニヤニヤが止まらないエッダは、横目でカールハインツを見ると、口元が声にこそ出さぬものの「屑がっ」と動いているのを読み取った。「先ほどのはなんじゃっ!」「なんじゃと言われてもわからないな」「公平と言っておっただろうがっ!」 バリュー邸から一直線に王都へ延びる道を歩きながら、モーフィスは怒りが治まらないとばかりに、カールハインツに絡んでいた。「冒険者ギルドは慈善事業じゃない。より多くの利益をもたらす者に便宜を図るのは当然だろう。 モーフィス、君はユウ・サトウに対して、特別な便宜を図っていないと言えるのか?」「儂は平等にしておるわ」「嘘だね。 私はそれが悪いと言っているんじゃない。優秀な冒険者がギルドに利益をもたらすなら、他の冒険者と区別をつけるのは当然だと考えている。優秀な冒険者と無能な冒険者を同列に扱うほうが不公平だからね」「話にならんの! エッダ、お前からもこいつに言ってやれ」「うふふ」「エッダ!」「もう、なんですか。大きな声なんか出して、ダメですよ」 見る者が気持ち悪いと思うほど、エッダは上機嫌であった。さすがのカールハインツですら、暴言をはくのを躊躇うほどである。「とにかくあんな奴の言うことを聞くな! 冒険者ギルドは中立であるべきじゃろうが!!」「なにを言われようが、私の考えは変わらないよ」「むう……。仕方がないのぅ」