腕枕が気に入ったのだろうか。腕を投げ出すとすぐさま頭をおいてベストポジションを探し出した。俺は本来寝るときは横になる派なのだが、こういうのも悪くないなと思えた。「……ねえ。あんた本当に」「幼児愛好者じゃねえよ。いいから寝かせろ。さっきのことは忘れてやるから」「……わかった。ねえ、反対側も腕伸ばしなさいよ」「は? え、お前も寝るの?」「悪い? 昨日はあんたを探し回ってたって言ったでしょ? だから一睡もしてないの! 私だって眠いのに、狭いんだからしょうがないじゃない!」「いや悪くないけど……。なら帰って宿で寝れば……」「いいじゃない。その子は良くて私は駄目なの?」そういう問題か?というか俺は両腕を広げて眠るのか。とにかく今は言うことを聞こう。言われたとおりに腕を伸ばすとソルテはもじもじしながら横になり、そっと腕の上に頭を置いた。「……硬い」「当たり前だ。嫌なら宿で寝ろ」「嫌なんて言ってないでしょ。ほら狭いんだからもうちょっとそっち行ってよ」「あのな、そんなことしたらシロが起きるだろうが」「……仕方ないわね」そういって体を寄せるソルテ。感触は女の子のそれなのだがいかんせん圧倒的にボリュームが足りない。俺が本当に幼児愛好者なら心の中がお祭り騒ぎだろうが、俺はドノーマルだ。大きな胸も小さな胸も大きなお尻も小さな尻も好きなただのドノーマルだ。ただ匂いは別だ。女の子ってのはどうしてこんなにそそる匂いをするんだろうな。フェロモンって凄い。実際禁欲生活を続けざるをえない身としては拷問のようだ。それでも性欲も睡眠欲も同じ三大欲求だ。今日は睡眠欲を優先しよう。「んん……zzZZZ」どうやらソルテも寝たらしい。俺の腕を枕にしながらもぞもぞとベストポジションを探し、足を絡め合わせてくる。シロもシロで体を丸めて尻尾がちょこちょこ動いている。眠いんだがな。寝れるかな。「主君……。これはどういうことだろうか……」そんな中にアイナ登場。君は本当にタイミングがいいね。良すぎてどこかで監視してるんじゃないかね?「あー……」「私が必死に主君を探していたのに」「すまなかった。話は後でしよう。アイナも休んでくれ」くい気味に話を終わらせる。もうね、眠いんだよ。頼むから今日は眠らせてくれ。これでレインリヒまで来る様なら今日は宿を取ろう。10万ノールだせばぐっすり寝る場所くらい確保できるだろう。「主君……その、私は何処で寝ればいいのだ?」両腕は埋まっている。床に三人も横になればほぼ空間はない。仕方ないとばかりにシロを俺の上に乗せる。シロは嫌がっていたがこればかりは仕方がないだろう。アイナを上に乗せるなどしたら俺の自制心がもたない。あのたわわな双宝玉が俺の胸の上で潰れるかもしれない。あの桃尻ピーチが俺の股間にオンザヘブンするかもしれない。そうなったらたがなんてターボエンジンをつけてはずれてしまう。付属品が二人いようが関係なくおっぱじめちまう自信がある。黙示録のビーストが如く獣のようになってしまうだろう。「私が主君の上でもいいのだが……いやでも主君を下に敷くなんて、背徳的すぎるだろうか」そーいうこといわないの!こっちがね、どれだけ我慢してると思ってるの?ゆっくりとアイナが俺の横に来る。「私には、その、腕枕はしていただけないんだろうか?」上目遣いでそんなことを言われては断れるわけもない。こうして俺は左腕にソルテ、右腕にアイナ。そして体の上にシロを乗せて就寝をする。傍から見たら奴隷を侍らせる悪徳主人だろうな。だが今日くらいはいいだろう。嵐が過ぎた。問題解決。勝利の安息とでも言おうか。願わくば俺が起きる前にレインリヒが訪れてきませんように。