「俺を、全力で支えろ」「――――はい」 凛と澄んだ答え。 セラスがそっと、俺の右手に指を絡ませてきた。「どうかこの私にお任せください、トーカ殿」 俺は手を戻そうとする。 と、セラスの手も自然と離れた。「あの……ですが、お辛い時は遠慮せずなんでもおっしゃってください。私にできることでしたら、どんなことでもお応えしますので」「相変わらず過保護な副長だよな」 くすっ、と微笑むセラス。「せめて、献身的と表現して欲しいのですが」「姉が」「え?」「姉がいたら、こんな感じなのかもな」「…………」「…………」「そういえばトーカ殿、おいくつなのですか?」 ん? 話してなかったか? 俺は年齢を口にした。 と、セラスが目をぱちくりさせた。「え? トーカ殿……、年下なのですか!?」「いや、ハイエルフってやっぱり長寿なんだろ? そりゃそうだろうとしか……」 だからこそ、命令口調に慣れるのに苦労してた面もあるわけで。 自分を指差すセラス。「19です」 え?「おまえの年齢?」 こく、と首肯するセラス。 …………。 思った以上に、若かった。 いや……読書量も知識も、すごいし。「100年とか生きてると、勝手に思い込んでたんだが……」 戸惑いつつ説明を始める知識人セラス。