「さぁ、こちらにお座りになって。お菓子もあるのよ?」
「え…」
「お茶はいかがかしら?良い茶葉がありますの」
この茶葉もサロンからの盗品だ。
新入生達はお茶とお菓子を前に妙に萎縮してしまっている。もっとリラックスして部活動の話をなんでも聞いてくれていいのに。私は優しい部活動の先輩として、笑顔を心掛けた。にこにこ。あら?どうしてドアのほうばかり見ているの?来たばかりなのに。
「ゆっくり見学していってよろしいのよ?さぁさぁ召し上がって」
「あの…でも、食堂以外での飲食は…。それにお菓子は校則違反では…」
「あら平気よ。これはピヴォワーヌのサロンのお菓子ですもの」
新入生達が色を失い仰け反った。ひとりの子は震えている?
「あのー…」
私が声を掛ける前に新入生達は立ち上がり、申し訳ありません申し訳ありませんと米つきバッタのように謝りながら、出直してきますと逃げるように部室を後にした。