門番の黒い鎧騎士は、だいたいメティオダンジョンの白龍と同じくらいの強さである。そう聞くと「アイソロイスダンジョンって別に大したことないな」と殆どのプレイヤーは思ってしまう。いやいやそんなことはない。何故かってメティオは常に1対1だが、アイソロイスの道中は常に2対1以上で襲いかかられるからだ。最上階手前の部屋なんて白龍の8倍強い金龍レベルの魔物と3対1を余儀なくされる。 ただ、確かにアイソロイスの魔物は柔らかい。出現する魔物は全て攻撃特化型で、HPやVITは甲等級の魔物にしてはかなり低い方なのである。それは道中に限らずボスであっても同様だ。特に「暗黒狼」は、甲等級のボス級魔物の中でも頭一つ抜けてHPが低い。その代わり他に類を見ないほどえげつない攻撃をしてくるワケだが。「まあ予定変更だな。地下大図書館までは安全第一。じっくり時間をかけながら激辛で行くぞ」「激辛とな?」「甘えは許さない的な雰囲気」「なァるほど。頑張るのだぞ我がセカンドよ」「頑張ってじゃねぇよオメェも頑張んだよ」 焦りや苛立ちは禁物である。俺は気を引き締めて、アイソロイスの最奥を目指した。