『はい。血筋は確かですし、気立てのいい方です。良縁があるといいのですが』 俺は酔って眠っているエクスナー男爵を見た。「――成り上がりの家は血筋が欲しいよな?」『心当たりがあるのですか?』 俺はエクスナー男爵を起こして話をする。 エクスナー男爵は、意識が朦朧としているが何とか話せるようだ。「エクスナー男爵、実はクルトの結婚についてお話があります」「クルトですか? あ~、早く相手を見つけないといけませんね~」「俺の知り合いに、血筋のしっかりした女性がいます。年齢はかなり年上ですけど」「年上ですか~? いや、それは流石に――クルトが可哀想かな、と」「確かに七十歳くらいの差があるときついですね」「七十!? ――許容範囲内では?」 え? いけるの? でも、よく考えると、人の寿命が長い世界だ。 七十年くらいの差は関係ないのか? ――俺はちょっとためらうけど。「ほ、本当によろしいので?」「年上の女性はいいらしいですからね~。クルトも頼れる姐さん女房がいると――いいと思うのですけど」 グダグダになってきた。「クルトは大丈夫と?」「百歳差があると悩みますが、あの子もそれくらいなら大丈夫と言っていたような――気がします」 それならすぐに紹介してやるべきだろう。「では、すぐにお見合いをしましょう。あ、お見合いと言ってもほとんど結婚前提ですけど」「いいですな! これでようやくクルトも一人前に~あれ? 士官学校を出てからの方がいいのか?」「それなら士官学校を卒業してから結婚ということで」「うむ! それなら問題なし!」 俺は会話を聞いていたティアに伝える。