とうとう優理絵様が涙を堪えきれなくなった。鏑木はすまなそうな顔で、優理絵様にハンカチを差し出した。優理絵様にとっても、子供の頃から可愛い弟と思っていた鏑木を傷つけて会えなくなった期間はかなりつらかったんだな…。
「俺も優理絵の気持ちはわかってたんだ。だけど14年の想いはそう簡単に断ち切れるものじゃなくて…ごめんな、優理絵」
優理絵様は頭を横に振った。
「でもやっと吹っ切ることができた。優理絵への恋は終わったけど、だけど俺にとって優理絵はいつまでも特別な存在だから、優理絵になにかあったら、どこにいたって必ず助けに行く」
あ、それって君ドルでのセリフだ。
そっかぁ、本当に吹っ切ることが出来たんだ。私もハイネの詩集を渡されたり面倒なこともあったけど、優理絵様も鏑木も、愛羅様も笑っているから良かったなと思えた。