クレオパトラ――昔の古いやつな。 或いは――。 も○ひとりのシェイクスピア。 う~ん、【薔薇○名前】はどうだ。これなら、この世界に近い世界観のような気がする。 もちろん、吹き替え版だ。日本語で字幕が出ても彼女には読めないからな。「いったい何を……」 困惑するプリムラさんを手で制して準備を始める。 先ずはDVDプレイヤーだ――再生専用なら3000円ぐらいで売っている。モニタは高いので、プロジェクターを使う。安い物なら1万円で買える。 そしてスクリーン、3000円だ。 薔薇○名前のDVDは中古が500円で売っていた――安い。今はブルーレイなのか? 床にクッションを敷いて【購入】ボタンを押すと、機材がドサドサと落ちてくるが設置は簡単だ。 プロジェクターはテーブルの上に載せて、スクリーンは壁から吊るす。電源にモバイルバッテリーをアイテムBOXから出した。 これで準備OK。 プロジェクターの電源を入れて、DVDの再生ボタンを押すと、ガソリンランタンの灯りを小さくする。 プロジェクターとスクリーンを距離を調整すると物語が始まった。「あれ?」 音が出ない! 慌てて、シャングリ・ラから2000円のアンプを買う。スピーカーは迷ったが、F○STEXにしてみた。 思わずJ○Lを買いそうになったが、ぐっと堪こらえる。スピーカーケーブルも買って被覆を剥いたり大忙し。 だが彼女はキョトンとして俺の行動を見ている。 やっと繋ぎ終わった。それじゃ気を取り直して最初から――。 物語が始まると彼女は驚きの声を上げる。「あの! あの窓の中に人がいるんですが」「違う世界の出来事を魔法を使って覗いているんですよ」「魔法……」 彼女は言葉少なめに、映像に食い入るように観ている。文化や風習が違うので俺の解説付きだ。 映画は、ある修道院へやって来た修道士が連続怪死事件を追うストーリーだ。 スピーカーから出ている音声も彼女は聞き取れているようだ。――ということは、この世界は本当に日本語互換の言語なんだな。 脳内で変換されているだけかと思ったら、そうでもないらしい。 まぁ、ローマ字モドキの文字を読むのを見れば、そうでないのは自明の理なのだが。 映画が終わったが彼女は興奮冷めやらぬ感じで色々と質問してくるので、それに答えてやる。 俺も歴史等には、あまり詳しくはないからなぁ。あまり突っ込まれると困るんだが。「ケンイチさんと話していると、まるで賢者様と話しているみたいです」「あはは、こんな賢者がいたら困るな」「そんな事はありません……」 外はすでに真っ暗、この世界では寝る時間だ。