エルフの少女は寝つけずに、また僕はというと子猫から背を押されてマリーの正面に腰かけている。胸はわずかに鼓動を速めており、怖いのか楽しみなのか自分でも分からない。「……ひとつゲームをしようか」「あら、あなたが考えたものかしら? どんな遊びになるのか楽しみね。それにもし退屈だったとしても、そのまま眠れるからちょうど良いわ」 じゃあ手伝ってくれるかなと声をかけて、僕らは頭から薄手の毛布をかぶる。外からわずかに明かりが差し込んで、テントの頂点は互いの頭の位置だ。 くすくす笑う少女と一緒に、小さな秘密基地のような僕らだけの空間ができあがる。 薄暗さのおかげで、僕の心臓もほんの少し静かになってくれた。何が始まるのかなとエルフさんは口元を緩ませて、早く早くと瞳で訴えてくる。 だから僕は落ち着いた声を出すことが許された。「今から僕らにちょっとした魔法がかかる。それは嘘をつけない魔法で、なぜか今夜だけは正直に話してしまうんだ」「あら、かなり高度な魔法だわ。あなたはとうとう魔法使いになってしまったのね。ふふ、じゃあここから先は嘘をついては駄目よ。全部本心のことを話しましょう」 さて、どう伝えたものだろう。 決して包み隠さずに、思うことをそのまま伝えるべきだろうか。もちろん台本なんて無いし、あらかじめの準備もしていない。