21世紀に入りITの急速な発達により、 リードタイムの短縮化、 顧客要望に応えるためのより 付加価値の高い製品の開発が求められることによる研究開発コスト増、 さらに製品サイクルが 短縮化したことで短期間に新製品開発を迫られる三重苦に企業が直面し始めると、 オープンイ ノベーションの議論も単なる研究開発領域に留まらず、 技術の商用化やビジネスモデルの領域 にまで及ぶようになった。図表 1-3のとおり、 外部資源を活用することで開発コストの削減や開発時間の短縮になるだ けでなく、 内部の研究開発を外部のチャネルの活用によって拡散することで、 収益増につなげ ることができる。 また、 チェスブロウはビジネスモデルのオープン化に際し、 仮説と実証実験を 繰り返してPDCAサイクルを回すこと、 さらに失敗により企業価値を傷付けるリスクを避けたい 場合にはスピンオフやベンチャー企業への投資が有効であるとしている。 独フィリップスやシー メンスをはじめとする欧米企業は、 早い段階から自前主義の限界を認識し、 外部資源の活用 や外部組織との連携を通したイノベーションの創出や既存のビジネスモデルや体制の変革など の取り組みを進めてきた。