「ふふっ、あなたって私とそっくりね。まるで血が繋がっているみたい」「もしもエルフ族の血が僕に流れていたら、どれだけ嬉しかったことか。中にはその長耳に憧れる人だっているんだよ」 ふふーん、という表情で長耳をぴんぴん揺らされると、羨ましい気持ちがさらに高まる。触りたい? 触りたいの? と、薄紫色の瞳で問いかけてくるのは、反則級の可愛らしさだといつになったら気づいてくれるのだろうか。「おっほん!」 すぐ背後からの咳払いに、ビック!と僕らの肩は同じくらい跳ねた。 振り返るまでもない。そこにはメイド長であるプセリさんがいて、少しだけ頬を赤くさせていた。「ああ、ごめんなさいっ! すぐ運びますっ!」「あなたが誘ったせいよ。私はちゃーんと働いていたのに」 あれぇ、ひとことも誘いかけていなかった記憶があるのに。そう突っ込もうとしたけれど、立ち上がった僕の襟首をムンズと後ろから握られてしまった。「客人を待たせてはなりません。そのお酒は私が運びますから、カズヒホさんは厨房の食事を持ってきてください」