「結婚はしなくていいから、子供を産んでおくといいわよ」
と言われたことがありましたが、そこには「一人では死ねないのだから、看取り要員を産んでおきなさい」と
いう意味も込められていたのかもしれません。
もちろん、人は「死ぬ時に看取ってもらいたいから」という理由で子供を産むわけではありません。男女が
出会って、その愛の結果として誕生するのが、子供。子供を産み育てる、そのこと自体に大きな意義があり
ます。
しかし親の死に際して、私ははっきりとわかったのです。「親が死んだ時のために、子供は存在する」という
ことが。死んだら死にっぱなしではなく、遺体を燃やしたり墓に入れたり祈ったり
まつ
祀ったりせずにいられないの
が、人間という生き物。子供として最後のそして最も大切な仕事は、「親をきちんと死なせ、その遺体をどう
にかする」ということなのです。
そして私はやはり、
「で、私は?」