『スイがね、ビュッビュッってやって溶かしちゃうよー!』 フェルたちに念話を送ると、ヤル気満々の返事が返ってきて逆に焦った。『えーと、手を出すのは、俺が言ってからだからな。それと、やりすぎて死んじゃうとこっちが悪くなっちゃうから、ほどほど、くれぐれもほどほどにね』 みんなにそう釘を刺してから、成金集団に目を向けた。「あの、うちの者を斬って捨てろとか、聞き捨てならないことをおっしゃっていたようですが、うちに何の用があるんですか?」「フン、無礼なドワーフなどどうなろうとかまわんだろう。そんなことより、まずは儂たちを中へ入れろ」 品のない集団の中でも一番と言っていいほどの趣味の悪いギラギラした派手なマントを羽織った、でっぷりと太った男が偉そうにそう言った。 は、何言ってんのコイツ。 バルテルを斬って捨てるとか、とんでもないことを口にしておいて、俺がうちに入れると思うわけ?「え、嫌ですけど」「な、何っ?!」「そこ、驚くところですか? 見ず知らずの他人、しかも、うちの者を斬って捨てろなんて平気で言うような野蛮な輩を家に入れるわけないでしょう。普通に考えたら分かりますよね」 ちょっと小ばかにしながらそう言ってやったら、わなわなと震え始めたでっぷりと太った男。「なっ、なななななっ……」 プクク、顔真っ赤にしてるけど、俺は至って普通のことを言っただけだから。 後ろにいるバルテル、タバサ、ペーター、必死に笑いをこらえてるだろ。 くぐもった声、こっちに聞こえてるからね。「司教様に向かってなんてことをっ! 貴様は我らの言うことを聞いてさっさと中へ入れればいいのだっ!!」 派手な取り巻きの一人がそう叫ぶ。 ハァ、あのさぁ、ルバノフ教って馬鹿しかいないのか? 前のときもこんな感じだったけど、ルバノフ教って言えばなんでも通ると勘違いしてない? 本国のルバノフ神聖王国とか周辺の属国とかならそれもあるのかもしれないけど、ここはレオンハルト王国だぞ。「司教様かどうかは存じませんけど、そちらはルバノフ教の方々ですよね?」「そうだ! 我等は神聖なるルバノフ教の聖職」「あ、そういうのいいんで」 取り巻きの言葉を遠慮なくぶった切る。