「うん、うん、そう、ゆっくり楽しめたなら良かったよ。え、眠そうな顔になりそう? 何を言っているの、花を見ても顔つきは変わらないよ?」 などと不思議な会話をしてしまった。どうやら2人は無事に庭園を楽しみ、僕らの家へ戻ったらしい。ほっと安堵をし、そして向こうにいる少女へ話しかける。「そうだね、今度は一緒に行こうか。ただし僕は着物を着ないからね」 おっと、日本人たるもの……などと説教をされてしまった。 まさかエルフさんから日本人のあり方について怒られるなんてねぇ。 通話を切り、スマホをしまうと雲から降りしきる雨はずいぶんと勢いを弱めていた。このまま週末には止んでくれると嬉しいな。などと思い、僕は伸びをしてから職場へ戻った。 ああ、働かないで済むなら日本は天国なのにね。 などと内心で文句を言いつつも、僕の足取りはとても軽いものだったよ。