せっかくもらった蛍だけど、1週間程度しか生きられない残りの人生ならぬ虫生を、虫籠の中で終わらせるのは忍びないので、瑞鸞の森に放してあげることにした。本当は麻央ちゃんにも光る蛍を見せてあげたいとちょっと思ったんだけどね。まぁそれはまた今度機会があればということで。
そうして私は夏休みの学院に登校した。瑞鸞の森で虫籠を開けると、飛んでいくかと思った蛍は意外にも近くの草にへばりついて動かなくなった。……もしかして今が臨終の瞬間?!落ちていた枝で蛍のとまっている草をツンツン突くと、蛍がふよふよと飛んで離れた葉っぱにまたとまった。どうやらいまわの際ではなく、ただの休憩時間だったらしい。蛍、大往生しろよ!
私は心の中で蛍を激励し、森を後にした。