「なんじゃ、その目は。恨みがましい目をしおって」「え、そんな顔をしてたかな。ただ訂正しておくよ。ウリドラの歯を磨いてあげることは無さそうだ」 くつくつと竜は笑い、招くよう布団を持ち上げてくる。。少し驚かされたのは裸体ではなく薄いネグリジェを着ていたことだ。まあ、それだって刺激的な服装だと分かって欲しいけど。「なんだかんだ言ってマリーに甘いよね、ウリドラは」 そう言いながら隣へ潜り込むと、黒曜石じみた瞳は意表を突かれたよう開かれる。「あんなに嫌がっていたのに寝るときも服を着ているし、使い魔だって本当はマリーのために作ったんじゃないかな」「たわけ、甘いのはぬしら2人に、である。ふ、ふ、おぬしも十分に可愛らしいと知っておいた方が良いぞ」 などと言われ、つんっと鼻を押されてしまったよ。 この年になって可愛いと評価されるのは微妙な気持ちになるね。とはいえ、それを言うなら齢百歳であるエルフのほうが抵抗あるか。 反論を諦め、おとなしく横になると、彼女は自然と頭を乗せてくる。もう何度となく一緒に眠りについているので、こちらも少しだけズレて微調整を済ませた。 満足したのか、ふうと吐息を漏らすウリドラ、そしてのったりと脚を乗せてくるマリーに囁きかける。 おやすみなさい、2人とも。また夢の中でね。 ぐう、というマリーの返事に僕らは苦笑した。