魔物の気配があれば、直ぐに解ると言うし――まるで生体レーダーだな。 それにしても虫の臭いか……。虫は苦手なんだが――デカいGだったりしたらどうしよう。「ケンイチ、後ろから何か来るにゃ!」「なに?」 ヘッドライトで後ろを照らす。すでに入り口の光も見えず真っ黒なのだが――。「バリケード召喚!」 俺たちの前に、丸太を組んで作ったバリケードをアイテムBOXから出した。 尖った丸太の後ろに広がる暗闇に、ライトの光が動く物を捉えたのだが。「うわぁっ!」 思わず俺は、クロスボウを構えた。だが、耳に飛び込んできたのは聞き覚えのある鳴き声。「にゃー」 何かと思ったら、ベルだよ。森猫がバリケードの横をすり抜けると、長い身体を俺にすり寄せてくる。 俺たちの後ろをつけてきたのか?。「ふう――脅かすなよ」 胸を撫で下ろして、バリケードをアイテムBOXへ収納する。 ――再び、3人と1匹で列を作り、歩き出してから20分程経過。 慎重に進んでいるので、かなりゆっくりとした足取りだが入り口から1000mぐらいは進んでいるはずだ。 ずっと一本道、何もない岩肌が続いているだけで変化に乏しい。 通路の高さも2m程になってきたが幅はそれなりにあるので、窮屈な感じはしない。 期待外れな感じに、少々がっかりしながら暗闇をLEDで照らすと何かがキラキラと反射してみえる。「ミャレー、何かあるぞ?」「本当だにゃ? 何か光ってるにゃ」 俺達がそこへ行ってみると、1m程のどら焼きのような形に水晶の鉱脈が露出していた。 LEDの光をキラキラと反射して、洞窟の岩肌に星をまき散らす――まるで、ミラーボールだ。「おおっ! こりゃ凄い。俺はこれを掘るぞ! お前らは焚き火でもして休んでいろ」「ふう……怖かったけど何もないね」「そうだにゃ~」 ミャレーが火をおこしている間に、ガソリン発電機と電動ハンマをアイテムBOXから取り出し――俺は掘削の準備を始めた。 アネモネのリクエストで、パンとフルーツ牛乳をアイテムBOXから出す。 焚き火が岩肌をオレンジ色に染める中で、俺が発電機のスターターのスイッチを押すと身震いするように彼が起動する。 電動ハンマのコンセントを差し込み作業を開始。なるべく大きく取りたいので、結晶の周りから掘り始めた。 電動ハンマが岩肌を叩く音が洞窟内に反響する。かなり煩うるさいが止むを得ない。せっかくのお宝だ。 後ろを見ると、ミャレーが耳を伏せている。獣人は耳が良いからな、これは辛いかもしれない。 彼女を外に出して俺だけで掘るか……などと、考えていたのだが。 ――突然、ミャレーが叫んだ。