ああ、そういう……。「次はシェリィの兄と試合のようだぞ」「らしいな」「見たところ、かなり前に出てくるスタイルだ」「へぇ、そりゃまた結構なことだ」「えー……なんか、なんだろう、他人事みたいじゃないか? 大丈夫か?」「今から気合入れたところで何もかも遅いからな。試合ってのは、始まる前に殆ど決まってるもんだ」「ははは、応援し甲斐のない男だ。だが……うむ、格好良いな」「シルビアも今のうちに格好付ける練習をしておけ。タイトルを獲得するってことは、大量の弟分妹分に自分の背中を追わせるってことだ。兄貴姉貴には格好付ける義務がある。そして背中がでかけりゃでかいほど良い」「……私も、幼い頃にタイトル戦を見て憧れたものだ。あのような強い騎士になりたいと夢見たものだ。今度は、私がその夢を見せる側に立つというわけか」「まず近いところでは、うちの使用人どもだな。格好付けるにはうってつけだ。やつら手放しで褒めたたえやがる」「ふふっ、では、もっとでっかい夢を見せてやれ。ほら、もう入場が始まるぞ」